TOKIOの山口達也さんが強制わいせつ罪による容疑で24日書類送検されたニュースを受け、こころとかだらの健康、という視点から私なりの考えをまとめてみました。
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アルコール依存症とは
アルコール依存症とは、厚生労働省によると
大切にしていた家族、仕事、趣味などよりも飲酒をはるかに優先させる状態です。具体的には、飲酒のコントロールができない、離脱症状がみられる、健康問題等の原因が飲酒とわかっていながら断酒ができない、などの症状のことをいいます。
確定診断方法が公開されており、1年以内に以下の項目の3つ以上当てはまり、かつその症状が1か月以上続いたか繰り返し出現した場合、アルコール依存症と確定されるそうです。
- 飲酒したいという強い欲望あるいは強迫感がある
- 飲酒の開始、終了、あるいは飲酒量に関して行動をコントロールすることが困難
- 禁酒あるいは減酒したときの離脱症状
- 耐性の証拠
- 飲酒にかわる楽しみや興味を無視し、飲酒せざるをえない時間やその効果からの回復に要する時間が延長
- 明らかに有害な結果が起きているにもかかわらず飲酒
参考:アルコール依存症(alcohol dependence syndrome)のICD-10診断ガイドライン
特定非営利団体ASKによると、アルコール依存症は年齢、性別、社会的立場や地位には関係なく、意志の強さや性格の問題でもない、とのことです。
アルコール依存症患者とその家庭の特徴
アルコールは依存性をもつ飲み物。薬物、と称する人もいます。
もちろん、アルコールを多量に飲んだからといってそれが依存症かというとそうではありません。タバコも健康を害する依存性の強いものですが、タバコと大きく異なるのはアルコール依存に伴う周囲への影響、暴力、家庭崩壊、失業など、人間関係を壊し生きる上での支えや経済力を失い、文字通りどん底に陥ってしまう可能性が高いことです。
アルコール依存症患者本人は、どんなに周囲がやめるように懇願しても怒っても、やめることができません。
飲んでは暴れたり家族に暴言・暴力をふるったり、会社にも行けないほど酩酊してしまうほどに飲んでもやめられないのです。
こどもへの影響
アルコール依存が親にある場合、そのこどもへの影響も計り知れません。
よくあるのは、アルコール依存症親のパートナーである妻や夫が、その問題から逃げ、こどもに「なかったこと」「見なかったこと」を暗黙のうちに強制します。
たとえばアルコール依存症の父親が家で母親に暴力を奮い続けても、その状況をこどもたちに見せ続けることを「悪」と認識しない母親。
「お父さんは疲れていて、飲まないとやっていられないのよ」
「お母さんを殴るけれど、飲まなければいいお父さんでしょ?」
などと正当化しこどもを混乱させます。一方で父親のお酒によるトラブルは、まるでなかったかのように外では振る舞い、暗黙の了解のうちにこどもたちは「外では言ってはいけない」「家族の恥を他人に言ってはいけない」と悟ります。
外の家族との比較ができない子供にとって、親から「これくらいは他の家でもあること」などと説明されたら、肉体的・精神的暴力が正当化され、他の家でも行われている当たり前のこと、と認識してしまいます。
そのため、アルコール依存症のこどももまた、将来アルコール依存に陥る可能性が高くなります。
機能不全家族
アルコール依存症患者のパートナーが、どんなに暴力を奮われてもこどもを連れて避難したり離れないのは、同時にこどもへの虐待を両親で行っているのと同じことです。
こういう家庭のことを、「機能不全家族」と呼びます。
機能不全家族とは、こどもが親に甘えたり反抗したりする成長の上で重要な行動を阻害され、こどもが親代わりになって親の精神的・経済的サポートを行い、親・子の関係が崩れ家庭としての機能がなくなっているいる状態のことを言います。
具体的にいうと、暴力を奮われている母親を見るこどもは心を引き裂かれるような思いで、必死で母親を守ろうとします。母親はそんなこどもに頼りきり、こどもに泣きついたり「被害者」として精神的サポートを求めます。
こどもは、こどもらしく天真爛漫に振る舞うことができず絶えず親の顔色を窺い、「かわいそうな母親」を助けなくては、と親の心配ばかりして、自分自身の夢ややりたいことに没頭できず、大切な成長の時間を親に奪われてしまいます。
被害者である母親は、そのような環境がこどもにとっては良くないと悟り、離婚できればいいのですが、機能不全家族の母親は
「お父さんはお酒を飲んでいないときはいい人だから」
「お父さんはかわいそうな人だから、お母さんやあなたたちで守っていこうね」
などと言います。これはアルコール依存家庭に限らず機能不全家族の特徴です。
母親もまた、飲酒がやめられない夫に日常的に暴力を奮われても一緒に暮らし続けるのは、別の依存でもあり、夫婦で共依存というパターンです。
このような家庭で育ったこどもは、何が一般的で穏やかな家庭なのかを知らずに育ち、大人になってからも情緒不安定になったり人間不信、対人恐怖症などのトラブルを抱えて苦しんだりします。
アルコール中毒患者への家族のサポート
アルコール中毒患者はひとりでは到底克服できません。
だからといって家族がサポートするとなると、機能不全家族に陥りこどもの心身に大きな影を落とす可能性が大きい、ということを念頭に置いて行動する必要があります。
アルコール依存症は、周囲のサポートは絶対に必要ですが、愛や情でなんとかなるものでもありません。
専門家による治療を受け、同時にカウンセリングもしっかり行って依存症の背景にひそむ心理的原因に気づき、順序を経てゆっくりステップアップする必要があるのです。
依存症患者の配偶者は、子供がいる場合親としての責任を最優先させる必要がある、と私は強く思います。こどもが親代わりになって支える必要はありません。
こどもが親を支えているのを、周囲が「親孝行だね」「頑張れよ」などと言ってもいけません。
機能不全家族は、こどもにとって虐待でしかありません。親孝行、もっと頑張れ、という言葉は、虐待を正当化するような言動です。
周囲の大人は軽くこのように言う場合もありますが、「こどもがこどもらしく生きられない」ことがこども時代に大きな影としこりを残すこと、それが大人になってからも心の闇となって生きづらさを抱える苦しみを持ち続けること、というのを知る必要があります。
寂しさやストレス、心の穴をアルコールで埋める逃避
アルコールを大量に飲んでも、依存症になる人、ならない人がいます。
これは体質にも寄りますが、お酒を飲んでいる限りいつ依存症になってもおかしくない、誰にでも可能性があるものなのです。
TOKIOの山口さんに関しては、芸能界という世界でトップを走り続けるストレスやプレッシャーもあったかもしれません。でも同じ環境で仕事をしている他のメンバーもいるわけです。
精神的弱さが指摘されていますが、アルコール依存症の場合、精神的強さは前述のとおりあまり関係ありません。大量のアルコール飲酒により、精神コントロールができない状態にあるためです。
ただ、多量の飲酒を続けるきっかけになったのは、寂しさやストレス、プレッシャーなどが背景にあったことも多いに考えられます。山口さん自身の生い立ちも関係している可能性もあります。
こどものうちから芸能界で大人に混じって働く、という環境も、同世代の一般的に若者たちと同じような、部活動で汗をかいたり友人と遊んだり寝食を共にする、という経験がないというのも、ある意味ではとても辛いことかもしれません。
一般人からしてみれば、煌びやかな世界で名声を得て地位を確立されていることに羨望があるかもしれませんが、芸能界の薬物中毒やアルコール依存、わいせつ疑惑の確率は高すぎる気がします。
それだけプレッシャーも多く、かつ孤独な世界なのかもしれません。
仕事や家庭を失い、どん底まで落ちてしまう
アルコール依存症は、朝から晩まで起きている間は終始、「飲みたい」という欲望で頭がいっぱいです。血中アルコール濃度がずっと高い状態で、それが切れると禁断症状が出て、中には料理用のお酒やみりんまで飲み干してしまう人もいます。
このような酩酊状態では、仕事もできません。周囲もその状態に気が付くでしょう。
上司は飲酒に対して厳しく叱咤すると思いますが、それでもやめようとしない人間に対して信頼も失い、やがて誰からもあてにされなくなります。
よほどアルコール依存に理解があったり、福利厚生がしっかりしている会社でなければほとんどの場合リストラに遭うでしょう。
収入が途絶えてもなお、飲酒はやめられないわけですから、貯金は底をつき、妻やこどもにお酒代をせびったりしはじめます。
嘔吐したり失禁してもなお、お酒がなくなれば小銭を持って体をひきずるようにお酒を買いに行く。
そんな状態が続くと、たいていの場合家庭崩壊になるでしょう。
妻も仕事をしている場合は離婚してこどもを育てていくということがすぐに選択肢にあがると思いますが、専業主婦を長く続けて社会経験がほとんどない場合、働いていない夫からの養育費は見込めず、妻にとってもゼロからのスタートとなるので、相当な精神的重荷になります。
ただ、深刻なアルコール中毒の場合、妻やこどもが離れてからようやくきちんとした治療を受けることになるきっかけにもなります。
文字通り、落ちるところまで落ちるので、その先には死が待っているか、もしくは周囲から通報等で病院に運ばれ、そこで専門的な治療がようやくはじまる、という人が多いようです。
克服には専門の治療とカウンセリングが必要
何度も書きますが、アルコール依存に限らず、依存症というのは病気です。
社会的制裁を受けることに発展することも多く、家庭や人生そのものが崩壊してしまう怖い病気です。
自分や素人の家族がどうにかできるものではありません。本人がどんなに嫌がっても、専門の病院に入院させ、強制的にアルコールが飲めない環境と、元に戻らないようにするためのカウンセリングが絶対に必要です。
家族が支えていく場合は、家族のカウンセリングも同時に必要です。
克服まで、長く果てしない道のり。
アルコール依存症の克服には、Alcoholics Anonymousが作った「12のステップ」が世界的に使用され、実践されています。
Alcoholics Anonymousは、1935年にアメリカでビル・ウィンソンとボブ・スミスの出会いにより生まれた自助グループで、今や世界中に広まる団体です。
Alcoholics Anonymousは直訳すると「匿名のアルコール依存症者たち」。職業や地位、性別、年齢、国境を越えて、アルコール依存に苦しむ人たちが安心して自分をさらけ出し、克服するために作られました。
この12のステップは依存症患者本人のみならず、家族も一緒に行うことで、互いの理解や前進に繋がります。
- 私達はアルコールに対して無力であり、生きていくことがどうにもならなくなったことを認めた。
- 私達は自分より偉大な力が、私達を正気に戻してくれると信じるようになった。
- 私達の意志と生命の方向を変え、自分で理解している神、ハイヤーパワーの配慮の下に置く決心をした。
- 探し求め、恐れることなく、生きてきたことの棚卸表を作った。
- 神に対し、自分自身に対し、いま一人の人間に対し、自分の誤りの正確な本質を認めた。
- これらの性格上の欠点をすべて取り除くことを、神にゆだねる心の準備が完全にできた。
- 自分の短所を変えて下さい、と謙虚に神に求めた。
- 私達が傷つけたすべての人の表を作り、そのすべての人達に埋め合わせをする気持ちになった。
- その人達、または他の人々を傷つけない限り、機会あるたびに直接埋め合わせをした。
- 自分の生き方の棚卸を実行し続け、誤った時はただちに認めた。
- 自分で理解している神との意識的触れ合いを深めるために、神の意志を知り、それだsけを行っていく力を祈りと黙想によって求めた。
- これらのステップを経た結果、霊的に目覚め、この話を他の人達に伝え、また自分のあらゆることに、この原理を実践するように努力した。
このステップは、1番から順番に行います。
好きな順番から行うのではなく、1番から順番にステップを踏むことで、克服が可能とされています。
人によっては、途中でなかなか先に進めない人も当然いますが、それでもひとつひとつステップを踏む。そのため、何年も(10年以上かかる場合も)あります。
ステップの中に「神」とか「霊的」という言葉が含まれるのは、AAがキリスト教文化のアメリカで発祥したもののためだと思われます。
この12のステップは、薬物依存症患者にも使われています。
日本にもAAはあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
TOKIOの山口さんは、アルコール依存症であることは否定しています。
ですがもしアルコール依存ならば、それをしっかり受け止めて認めるところから真の克服は生まれると思います。
TOKIOへ戻りたい、という山口さんの思いに対して、メンバーは厳しい言葉を返しています。
実際、アルコール依存症ならば1~2年程度の短いスパンでは克服は難しいはずです。完全にアルコールから脱することができた、となるまでには長い月日がかかります。
山口さんに限らず、飲酒をする人は「いつ自分がなってもおかしくない」という自覚を持ち、適度に休肝日を設けたり、スポーツで汗を流して飲酒から離れてみるのもいいと思います。
山口さんがTOKIOまたは事務所の脱退を強いられれば、収入が途絶えさらなる厳しい状況に陥るでしょう。がこれは、アルコール依存症患者がたどる典型的なルートとも言えます。
事務所や家族がサポートしながら、克服できることを願っています。