認知症の種類は4つ、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症があります。
アルツハイマー型認知症、いわゆるアルツハイマー病は、全体の約50%を占め女性の羅漢率が高いと言われています。
そのうち、レビー小体型認知症に見られる「幻視」について書きます。
レビー小体型認知症患者の脳にみられる「頭頂葉」と「後頭葉」の血流低下
レビー小体型認知症患者さんは、頭頂葉と後頭葉にかけて血流の低下が見られると言われています。
頭頂葉は痛み、温度、感触などの感覚や自分の身体の感覚、方向感覚などを主に担っています。
後頭葉は、視覚中枢として目から伝わる情報を処理・解析しています。

レビー小体型認知症とは
レビー小体型認知症は、脳内で「レビー」という特殊なものができることで脳の神経細胞が死滅してしまうことから発症します。
他の認知症と同じように、もの忘れや注意力散漫、認知変動もありますが、いちばんの特徴は「視覚」認識をつかさどる後頭葉のダメージから起こる「幻視」です。
そのほか、うつ状態、パーキンソン症状、睡眠時の異常言動、悪夢を見る、自律神経症状などがあげられます。
レビー小体型認知症のいちばんわかりやすい特徴、「幻視」
幻視は、その名のとおり「ありもしないものをハッキリと見る」ということ。
当然、他の家族や周囲の人には見えません。でもレビー小体型認知症患者さんの目には、はっきりと見えているそうです。
よく薬物中毒の方の苦しみで語られるのが「無数の虫が蠢いているのが見えて消えない」というのがあります。レビー小体型認知症の方も、同じく「虫がたくさん迫ってくる」という人もいます。薬物乱用による幻視も脳のダメ―ジによるものですから、同じものだとしたら相当苦しいものだと思われます。
他にも、死んだはずの先祖やペットがはっきりと見え、会話をしたり怖がったり、パニックになったりします。
レビー小体型認知症の治療薬
レビー小体型認知症は、認知症の症状が目立たないうちに精神症状やパーキンソン症状を治療することで、その後の症状を抑えることができます。
初期は記憶障害はあまり見られないので、周囲の人がその他の症状や状態を知り、早めに気づくことができれば早期治療につなげることができます。
レビー小体型認知症は、上記のように多彩な症状が出現する病気です。そのため、軽減・緩和させたい症状に医師が優先順位をつけて処方します。
一般的には、以下の3つを必要に応じて投薬します。
- 記憶障害に対する薬
- 幻覚や妄想などの精神症状に対する薬
- パーキンソン症状に対する薬
ただし、レビー小体型認知症は薬に対する反応が過敏で、効きすぎて副作用がでやすいとも言われています。そのため、投薬により症状が悪化することもあります。
医師と相談しながら、適切な対応ができるようにしましょう。
参考:『第二の認知症 増えるレビー小体型認知症の今』小阪憲司著、尾崎純郎執筆協力、紀伊国屋書店、2012
スピリチュアルを信仰しすぎる人たちの不幸
認知症は脳の病気です。その背景には科学的な根拠と裏付けがあります。
しかし一方で、宗教やスピリチュアルに傾倒しすぎて適切な対応ができず、患者を不幸にしてしまう人もいます。
「死んだ人(霊)が見える」と訴える認知症患者さんは、苦しみの中にいます。患者さんにははっきりと見える霊だとしても、それは脳が見せている幻覚にすぎません。
しかし、患者さんが「霊が見える」ということをうのみにして、周囲が気味悪がったり怖がったりしたらどうでしょうか。
ある人はお祓いに神社やお寺に行ったり、霊視占いのようなものに大金をつぎ込んだり、「先祖の祟り」だとか「前世の業」だとか言われて病院に行くのが遅れ、症状が進行してしまいます。
辛いのは病気の本人なのに、さらに恐怖心を煽られ苦しみは増すでしょう。
「そんなこと、あるわけない」と思う方もいるかも知れませんが、案外こういうものの見方をする人はいるものです。仏教の国で代々育ってきた日本人は輪廻転生を信じている人が多いですし、「スピリチュアルカウンセラー」を名乗る人が出てきたり、ホラー映画は人気があったり「神隠し」などの言葉が昔からあるくらい、日本人は霊的なものを信じる傾向があります。
先祖を大切にしたり、見えないものの力を信じたりするのは悪いことではありません。
何を信仰するかは個人の自由です。
でも人によってはスピリチュアルに傾倒しすぎて、占いや祈祷に行っては何万、何十万をお金をつぎ込み、肝心の治療はそっちのけ、という場合もあるのです。
私はずっと科学的な統合医療の分野で仕事をしてきているので、非科学的なものに対しては否定・懐疑的です。とくに病気に関しては「手遅れ」になる不幸だけは避けていただきたいと思います。
もし「レビー小体型認知症は、視覚障害による幻視が起こる」という知識があれば、冷静に対応できるはずです。
知識をつければ正しい対応ができる
適切な対応としては、専門医に診察をすませ投薬治療を行いながら、「霊が見える」と怖がったりパニックになったら、周囲の家族は優しく手を握ってあげましょう。
そして、「見える」というところまで一緒に歩いてみます。
患者さんをいたわりながら、「一緒に触ってみようか。なにもいないよ?」と落ち着かせてあげてください。
実際にそこにいない、ということを体感すると納得して落ち着くそうです。
まとめ
レビー小体型認知症の特徴は「幻視」。実際にいるはずのない人やものをハッキリと見ています。
そのため、パニックを起こしたり恐怖で叫びだしたりといった症状が出ます。
周囲の人が気づいたら、早めに認知症専門外来で診てもらいましょう。投薬治療とともに、家族の対応の仕方や接し方などを教えてもらえると思います。
お祓いに行っても、占いに行っても治療しない限り改善しません。スピリチュアルは人気がありますが、病気に関しては冷静な目を持つようにしてください。