トレンチコートって基本的に、何十年も前から男女ともに着ているアイテム。
今日本でも大ブームで、トレンチを着た女性をよく見かけるようになりました。パリでもローマでもニューヨークでも、恰好良く着こなしている女性がたくさんいて憧れのアイテムではありますが、選び方って本当に難しい服です。
出典:「クレイマークレイマー」
ダスティン・ホフマンと共演したメリル・ストリープが映画「クレイマークレイマー」で着ていたトレンチコート。バーバリーのものです。
ベーシックでオーセンティック。70年代の映画ですが、まったく古さを感じません。それだけ定番ということですよね。
背が高く華奢な若き日のメリル・ストリープは、本当に素敵にトレンチコートを着こなしていました。
クレイマークレイマーは、ワーカホリックの夫との生活に不満を爆発させた主婦が突然離婚をつきつけ、夫と子供を置いて家を出てしまうところからストーリーが展開するのですが、専業主婦だった妻が仕事を始め、少しずつ社会とのかかわりを持ち始める象徴として、このトレンチはとても大きな効果があったと思います。
さて、この定番トレンチを長年作ってきたバーバリーでも、毎年流行を取り入れているのでずっと同じデザイン、というわけではありません。たとえば、80年代は厚い肩パッドを入れた逆三角形デザインが流行ったので、当時のバーバリートレンチも肩幅が大きく厚く、かなりオーバーサイズのものでした。
今年2018年もオーバーサイズが再流行しているので「また着れる!」というものでもないのが難しいところで、やっぱりなんか古臭いデザイン、と感じてしまう。
なので、「とにもかくにも、バーバリーのトレンチを買っとけば安心!」とオークションやフリマサイトで買って着てみると、「あれ?なんか古臭い」ということが起こります。
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トレンチコートが難しい理由
もともとは軍服。マスキュリンな男たちが着ていたコート
トレンチコートは、元々は戦闘服です。トレンチとは「塹壕」という意味で、戦士が狭い壕の中を歩いて移動するために考案されたもの。軍服だったのですね。
今でもしっかりと軍服の流れはくんでいて、トレンチ特有の肩についているベルトは襟を立てて雨風をよけて着ているときに肩の縫い目から雨が染み入らないようにつけられたもの。また勲章をここに留めていたそうです
ベルトについた金具は、手榴弾をつけておくためのもの。
前身ごろの肩の部分についた当て布はガンフラップといって、銃を撃ったときに衝撃を和らげるためにつけられたものだそうです。
これ以外にも袖口のストラップや背中のベンチレーション、後ろのセンターベンツ、フラップポケットなど、とにかくパーツが多い。
このパーツの多さが「似合うトレンチがない」と言わしめる原因のひとつでもあります。
カラバリが豊富すぎる
トレンチコートといえばベージュをすぐに思い浮かべると思います。このベージュが曲者で、とにかくバリエーションが幅広い。
白っぽいベージュ、焦げ茶に近いベージュ、グレーがかったベージュ、黄色味が強いベージュ…などなど。とにかく色のトーンが豊富すぎて、「ベージュ」というひとくくりで決められないのです。しかも最近はネイビーやら黒やらカーキやら他にも色々あって選択肢が豊富です。
私の場合、黄色味の強いベージュは顔色がすごく悪く見えてしまう。白っぽいベージュか、グレーがかったベージュならしっくりいきます。
ネット通販だと、光の加減や使っているPCの解像度等で違ってみえるので、写真と実物の色味が違う!ということが多いのがこのベージュ。なので、できれば実際に店頭で着てみて、顔映りがいいかどうかを確認するのがベターです。
長さや形、素材のバリーエーションが複雑
膝上くらいのショート、膝下の着丈100㎝くらいのロング、それよりももっと長い着丈110㎝~120㎝くらいの超ロングと大きく分けて3タイプあります。
ロングだとコートの占める面積が大きくなるため、ハリのある厚手の素材だと「コートが歩いてる!」という雰囲気になってしまう。
上に載せたメリルストリープのトレンチは定番の形ですが、最近ではAラインのものやギャザーを寄せてフェミニンなタイプなど色々。
素材で着心地と見た目がガラリと変わる
トレンチコートの素材は綿ギャバジンといって目の詰まったハリのある固い生地や、ポリエステルやナイロンなどの化繊混合、化繊100%など色々。
出典:ELLE.jp
バーバリーやアクアスキュータムも、綿100%の年もあればナイロン混合の年もあり、これも流行が関係しています。
最近はラフに袖をたくし上げて着こなす女性が増えているので、綿100%だと肘部分に皺がついて取れなくなってしまうのと、硬くてクシャっとたくし上げられないため、化繊が混合されているようです。
昔はコットンギャバジンのトレンチ、というのが王道で、それにこだわって買っている人もいて、今も当時モノを探している人も多いようですが、デメリットは重いこと。持つとズッシリと重く、「一生モノとして清水の舞台から飛び降りて買ったけど、重すぎて着られない」という人もいるようです。
コットン100%のトレンチは、化繊のような柔らかいドレープのようなものが出づらいため、カッチリとした見た目になります。化繊混合のものの方が今っぽく、女性らしく着こなせるのかも、と思います。
肩がラグランか否か
上の写真はラグランスリーブといって、肩で切り返しのない袖です。
下の写真のトレンチは肩に切り替えのある、一般的なもの。肩からの切り替えだと、とてもスッキリ着こなせますが、肩幅が合わないと「コートに着られている感」が半端なく出ます。
肩幅が合っていないと、コートの着心地は最悪なものになります。とくに自分の肩よりもちょっと小さい、という場合。お店の試着では問題なかったのに、買って実際に着てみたらすごく着心地が悪い!というのは、肩幅が合っていなかった、ということが一番の原因です。
というのも、実際には腕を上げたりしゃがんだり、鞄を肩にかけたりと、腕を動かす動作を実際にしてみたときにはじめて「動かしづらい」という感覚があり、なんだか着心地がわるい、ということになるのですね。
私が最初に買ったトレンチコートは、SHIPSで購入したものでした。コットンギャバジンでしっかりした素材。肩はラグランではなく上の写真のようなスッキリしたデザインでした。
素材がしっかりしているというのもありますが、とにかく着心地が悪かった。ちょっと自分のサイズよりも小さかったんですね。いつもMサイズを買っていてそのコートもMだったので大丈夫だと思ったんですが、実際に試着もしたのに、結局着心地の悪さにほとんど着ず、手放してしまいました。
その経験を踏まえ、私はトレンチならラグラン、と決めています。
若い頃はラグランは大人っぽすぎて似合いませんでしたが、40代になったら似合うようになりました。
肩を動かしやすい、というのはこんなにも着心地に影響するのか、とびっくりしました。
裏地があるかないか
トレンチコートには、ウールの取り外し可能な裏地がついていて、夏以外はオールシーズン着られるタイプのもの、裏地がないものの2タイプあります。
ウールの取り外しインナーがついているものは便利ですが、裏地を取ったときにちょっと大きい、裏地を取った状態でジャストサイズだと、裏地をつけるとキツキツ、ということになりやすい。
春先にも着たいならば、白っぽい薄い色のベージュは春らしくていいですが、濃い暗いベージュだと春先には野暮ったい、ということも。
私は裏地つきの着丈100㎝の標準ロングコートを一枚持っていて愛用していますが、色は若干暗めのベージュで、生地をたっぷり使った女性らしいタイプのもの。裏地は特殊な機能生地でダウンと同程度の温かさがあるという化繊のもの、ウールではありません。でもそのためとても軽く、腕も動かしやすい。
ただ、マニッシュな靴や服にはちょっと合わない、ということがあり、春秋用に裏地なしの一枚仕立ての着丈115㎝のロングトレンチを買い足しました。
シャツ一枚の上でもダボつかず、ジャストサイズで着られるというのは、とても気持ちがいいです。
流行に左右されないオーセンティックな形。ラルフローレンのもので素材はコットン100%。裏地はありません。
裏地がないと布の動きやドレープが綺麗に出やすくなるメリットがあります。裏地がついている方がいいとか、そういうものではありません。どう着たいか、という目的のもと、裏地つきか裏地なしかを決める方がおすすめです。
素材や裏地は、どんな風に着こなしたいか、ということで変わってくるので絶対コレいうものはありませんが、個人的なオススメとしてはコットン100%のものよりも、ちょっとナイロンが混じっている方が丈夫ですしツヤがあり、柔らかいので気崩しができておすすめです。
ポリエステル混とナイロン混、レーヨン混とありますが、化繊混合の生地は柔らかく、動いたときのシルエットが綿100%よりも綺麗に出るメリットや、少々の雨雪なら弾いてくれます。
動きやすくするために、素材に伸縮の特徴のあるのはポリウレタン。
タイト目なデザインのデニムにはよく使われている素材なのですが、ポリウレタンの特徴として経年劣化しやすい、というデメリットがあります。つまり耐久性に劣ります。
長く着たいのであれば、ポリウレタン混のものは避けた方がいいと思います。
ボタンの色や大きさ
ボタンが大きくて黒っぽいと、アクセントになると同時にファッションの邪魔になることもあります。
ロングのトレンチで、ラフに着たり鞄やスカーフ、ストールなどでコーディネートしたときに、ボタンが目立ちすぎてしまう、ということが起きます。
でも、コートとほぼ同色だとノッペリしすぎてしまって…ということも。
トレンチは、とにかくパーツの多さと位置、微妙なパーツの大きさ等、組み合わせると何百通りにもなるアイテムなので、「他は完璧なのにココだけ気に入らない…」なんてことがあります。
それがボタンの場合は、ぜんぶ付け替えちゃうってのも手です。
私はぜんぶ水牛の角でできたボタンを買って、付け替えたこともありました。
高級なトレンチを買うなら
バーバリーやアクアスキュータムのトレンチを買うなら、本当に慎重に選ぶ必要があります。
「一生モノ」と思って就職と同時に買うのもアリですが、体形をずっと維持できるかわかりませんし、年とともにくすんできた肌にコートの色が合わない、ということも出てくるからです。
なので40代なら高級トレンチを買うのもいい選択だと思うのですが、実際にお店で色々と着てみて、この王道トレンチブランド以外にも試着して、自分に似合うトレンチにはどういうポイントがあるのか、ということをじっくり調べるといいと思います。
襟の大きさ(大きいと小顔効果あり)や、襟を立てて着てみる、腕をたくし上げて着てみる、前だけでなく横、後ろ姿も見る、色は肌に合っているか、丈は何センチか、身幅、肩幅の大きさは何センチがベストか、肩は上げやすいか、素材は…などなど、実際に着てみないとわからないことがあります。
でもそもそも、トレンチが似合わないという結論に至れば、カシミヤの上質なコートを買った方がよっぽど賢い買い物だ、と思うのです。
イチオシのトレンチ
私が次に買うなら絶対にコレ、と決めているトレンチコート。
イタリアの「l’impermeabile(リンペルメアビレ)」というブランドのもの。1948年創業で、コートだけを作ってる老舗のブランドです。バーバリーやアクアスキュータムは有名なスタイリストが紹介して火が付いた、ということはあるけれど、それ以外にも素敵なトレンチもけっこうあるんですよね。
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私の今の気分は、ちょっと長めのロングで一枚仕立て。一枚仕立てのコートは、素材自体が上質なものでないと成り立たない。なので裏地があるものよりもむしろ上質なコートが買えるのです。
一枚仕立てにするためには、縫い代がそのまま出ないように、きちんとカバーして作られています。そのために手間も意外とかかる。裏地を付けてしまった方が縫製としては楽、ということもあります。
バーバリーもアクアスキュータムも、ロングといったら着丈100cm程度の膝が隠れる程度のものが主流で、115cmくらいあるロングはなかなか見つけられません。
ここまでのロングはロングスカートやワイドパンツなどとの相性もいいし、ヒールやブーツを履いてコーディネートすると、すごくかっこよくキマリます。
このコート、本当に欲しいんですが、楽天ではすぐに売り切れてしまいます。でも、取り扱っている実店舗がほとんどなく、試着ができないのが悩み。このコートを買いにイタリアに行きたいと思うほどなのですが…
似た形のコートは他にもあると思いますが、裏地がついているというだけでシルエットが変わります。裏地がついていると、上の写真のようにしなやかに体に纏う、という雰囲気は出ません。もっとハリが出てきます。
まとめ
「家は3回建てて初めて理想の家が作れる」という言葉がありますが、トレンチコートにも当てはまるような気がします。
トレンチコートはスプリングコートも含め、今持っているものは4着目。やっと最近、選び方わかってきました。
今年はオーバーサイズが流行っていて、身幅も着丈もかなり大きいものが売られていますが、長く着たいのであればそういう流行が反映されたものではなく、オーセンティックなものを選ぶ方がいいと思います。今年風に着たいなら、ZARAなどでリーズナブルなものを買ってお洒落を愉しむ、という方がいいかも。
自分に似合うトレンチは、①襟の大きさ ②肩幅 ③身幅 ④着丈 ⑤色 ⑥素材 ⑦裏地ありなし を抑えるとうまくいきます。
わたしは、自分のトレンチベストサイズ身幅48㎝、肩幅40㎝、着丈110~115㎝、色は白&グレーよりのベージュ、ともうわかっているので、フリマサイト等でもポイントさえ押さえれば大きな失敗をしなくなりました。
ご参考になれば嬉しいです。